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100系新幹線の保存車たち

 2017年のブログ開設から5年ちょっとでようやく100記事目となりました。今回は”100”にちなんで、100系新幹線の保存車を取り上げます。100系新幹線と言えば、シャークノーズの先頭部が特徴的な形式で、個人的にはひかりやグランドひかりのイメージの強い新幹線です(私は500系と300系がのぞみ、100系ひかり、0系こだまの世代ですね…)。

JR東海 123-1
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 国鉄では陳腐化の進んでいた0系新幹線の後継車両の検討が1980年頃から進められており、博多開業時の車両の置き換えが見込まれていた1985年頃の登場を見込んで、0系の問題点のフィードバックを織り込み、最高速度の向上、個室車両の導入など様々な案が検討されました。これらをもとに開発されたのが100系で、前面デザインの変更(先述のシャークノーズ)や、新幹線では初めての2階建て車両が採用された点が挙げられます。最初に登場したX0編成は小窓の側面窓で登場しましたが、量産車では眺望性を優先した大窓が採用されました。その後、国鉄からJR東海、JR西日本が増備を続け、1992年までに16両66編成1,056両が製造されました。特にJR西日本は2階建て車両を4両連結したグランドひかり用の100N系(V編成)を登場させ、100系=豪華な新幹線車両のイメージを根付かせました。特にグランドひかりは将来的な270㎞/h運転を想定して、構体やブレーキの強化や歯車比の変更などが行われました。
 しかし100系がフラッグシップであった期間は短く、1990年には後継の300系が登場して1992年からのぞみとして営業運転に投入され始めると、速度に劣るひかりでは次第に影が薄くなります。そして、700系が登場すると置き換えが始まります。2003年にはJR東海からは引退し、東海区間からは引退。JR西日本の所属車両は短編成化されてこだまで活躍しましたが、2012年に引退となりました。
 100系の保存車は4両あります。

①168-9001
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 愛知県名古屋市のリニア・鉄道館で屋内に保存されています。168-9001は試作編成のX0編成の8号車として、1985年に近畿車輌で製造された車両です。168は2階建ての食堂車で、1階に厨房、2階に客席の構造となっており、利用客は景色の良い2階で食事と車窓を楽しむことができました。X0編成は1985年に営業運転を開始し、1986年には量産化改造を実施してX1編成に改番されました。しかし、X編成は東京~博多間のひかりに充当されることが多い運用だったために走行距離が延び、2000年に廃車となりました。廃車後はJR東海浜松工場に保管されていましたが、リニア・鉄道館の開館に合わせて展示されて現在に至ります。後述の123-1と連結して展示されています。

客席
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②123-1
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 愛知県名古屋市のリニア・鉄道館で屋内に保存されています。123-1は量産車第1編成であるG1編成の新大阪側先頭車として、1986年に日立製作所で製造された車両です。G編成は当初こだまの置き換え用の編成として製造されたため、2階建て車両などを連結しない12両編成として暫定的に投入されました。その後、16両化されてX2編成となりました。X0編成と同様に長距離の運用が多かったため、老朽化が進み2000年に廃車となりました。廃車後はJR東海浜松工場に保管されていましたが、リニア・鉄道館の開館に合わせて展示されて現在に至ります。

③122-5003
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 京都府京都市の京都鉄道博物館で屋内に保存されています。122-5003は122-3003を改造した車両で、122-3003はグランドひかり用のV3編成の東京側先頭車として、1989年に日立製作所で製造された車両です。100系では先頭車は制御車でしたが、100N系では制御電動車となったのが違いの一つで、フロントノーズの下側に電動機冷却用の空気取り入れ口が設けられているのが特徴です。グランドひかりは東海区間では220㎞/h運転を、山陽区間では230㎞/hで運転していましたが、のぞみに比べると遅いために次第に運用が減り、2002年にグランドひかりは廃止となりました。その後短編成化や2+2座席化などの工事を実施し、6両編成のK54編成の新大阪側先頭車となりました。また、今までの白と青帯の塗装から、ライトグレーにダークグレーとフレッシュグリーンの帯に塗装変更された最初の編成であることも特筆されます。この塗装は0系などにも波及し、山陽区間のこだまの標準塗装となりました。その後も山陽区間で活躍を続けましたが、引退が迫った2010年に旧塗装に塗り直されました。2012年に廃車となり、博多総合車両所で保管されていましたが、京都鉄道博物館の開館に合わせて展示されて現在に至ります。

④122-5009
(画像非公開)

 大阪府東大阪市の近畿車輌に露天で保存されています。122-5009は122-3009を改造した車両で、122-3009はグランドひかり用のV9編成の東京側先頭車として、1991年に近畿車輌で製造された車両です。2003年に短編成化されてK58編成の新大阪側先頭車となりました。2011年に廃車となり、製造元である近畿車輛で保管されていました。しかし、外からは見えない位置に置かれていましたが、2022年初頭にJR片町線から見える位置に移設されて現在に至ります。

 読者の皆さまありがとうございます。今後とも拙ブログをよろしくお願い致します。

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1作目の記事は東急6000系の保存車でした(マニアックなスタートではありましたが…)


by hozonsya_bus | 2022-05-15 12:00 | 保存車 | Comments(0)

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